宮崎駿の『風立ちぬ』すごい人気です。まだ風立ちぬを見てない人のために、知っておくと面白さ倍増のポイントを少し。ネタバレは極力避けますね。
風立ちぬは現実とファンタジーが混ざったアニメ。風立ちぬに出てくる妹が「にい兄さま!」って言う台詞、はまってしまいました。やたら可愛い。
主人公の堀越二郎がかけているメガネ。すごく地味な演出ですが、ほとんどのマンガ・アニメでは使われていない手法が用いられています。堀越二郎のキャラには、重要なメガネという感想です。特に菜穂子と会ってから、一度だけメガネを外すシーンがあります。
次、風立ちぬで評価できるのが、「シベリヤ」というお菓子が出てきます。
これは、カステラの間に羊羹が挟まっているものなんですが、昭和の初め頃は子供の食べたいお菓子のトップだったそうです。興味あるのは、これが出てくるシーン。非常に意味深です。
ちょっとだけ風立ちぬのネタバレをすると、タバコを吸うシーンがやたら多いのに気づきます。色んな国の人がそれぞれの国のタバコを吸っているのも要チェックかな。宮崎駿が愛煙している「チェリー」を堀越二郎が吸っています。
風立ちぬのあらすじを語る上でなくてはならないのが、堀越二郎が愛用している計算尺。結構大事なアイテムで、あるシーンでは、いっぱい出てきます。
風立ちぬで気にして欲しいのがモノラルの音響です。風立ちぬでは効果音は全て人の声で録音されています。モノラルで、機械や自然を人の声で表現しているため、効果絶大という感想です。ちなみに、2006年ジブリ美術館上映の宮崎駿監督の短編アニメ「やどさがし」で既にやっていたそうです。
風立ちぬの更なる評価は、意表をついた色使い。全体的に古臭さがないです。宮崎駿は「町はまずしかった。建築物についてセピアにくすませたくない、モダニズムの東アジア的色彩の氾濫をあえてする」と言っているように、めちゃくちゃモダンです。
着物の色や堀越二郎のスーツの色。バスに至っては、ネコバスみたいになってます(笑)。実に面白いし気持ちイイってのが感想です。
『ポニョ』を見た人はわかると思いますが、水の描写の仕方が素晴らしいです。『ポニョ』より更に細かくこだわりを感じます。特に、涙の評価はすごいです。シーンごとにこだわっているので、じっくり見てください。
更に、大きくデフォルメされた飛行機。風立ちぬに出てくる飛行機は、ほとんどが実在のものです。
風立ちぬの原作は、零戦の設計者堀越二郎の半生に、堀辰雄『風立ちぬ』+『菜穂子』を重ね、ミックスしたもの。堀越二郎の人生とは違います。
宮崎駿自身「資料的価値はない」と明言しているように、あくまでも色々あった史実と、機械偏愛と、イメージとしての「ものをつくる人間像」をかき混ぜた原作で、それを極限まで磨いて形にし、新しい感覚を混ぜながら組み立てて、見せたいイメージ・カットのパーツを複雑に積み重ねた、アニメ映画だということです。
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